4月 092018
 

ワイヤーカット加工の町工場
(株)𠮷原精工の会長が書いた本を読んだ。

まず思ったのが、
創業者の𠮷原博会長は
「従業員もお客さまだ」という考えを持って
経営をしているように思える。

会社にお金をもたらしてくれるのは
顧客だけではなく、
従業員のガンバリがあってこそだから。

その従業員をコスト扱いして
報酬をケチったり、サービス残業をさせるのは
会社にとって損害を与えるのも同然だと。
だから彼は残業代込みの固定給にしなさいと言う。

「残業する=会社のために頑張っている」

というのが日本ではまかり通っている通念だが、

「残業する=仕事が遅い」

というようには考えない。
なぜそうとらえないのかというと
時間労働(月給制)だから、
長く働いた人が会社にとっては利益になるのだと
勘違いがあるからだろう。

それに個々人の仕事の力量の見定めるのを
面倒だからいちいち見たくない。
給料体系を一律にした方がもめ事なくて済む。
これは従業員の多い会社であればあるほど
当てはまっていく。

組織に属すというのは、“合わせる”のを強要させる。

残業がイヤ、自分のスタイルで生きたい人は

・融通の利きやすい小規模な会社で働くか
・力をつけて個人で独立して稼ぐか

どちらかを選ぶべきだろう。

それと驚いたのが
社員7名のうち4名が難民ということ。
ベトナム、ラオス、カンボジアが社会主義に移行する際、
迫害を恐れて自国を脱出した人々。
帰る故郷がない背水の陣の人はよく働く。
そうしないと生きていけないから。

逆に勤勉だと言われる日本人であっても
生活に必死さがなければサボろうとする。
現にITバブル後の経営危機時に
𠮷原精工では古参の経営幹部の日本人をクビにした。
彼は幹部という地位にもかかわらず
会社の危機的状況を他人事のように考えて、
仕事に対する責任感の欠如が目立つ働きだったので
お荷物としてクビを言い渡した。

なぜそんな奴を幹部のままにしたのかというと
経営者としての甘さがあったから。
いかなる時であっても経営危機という意識があれば
絶対に人選を誤ることはしない。
年上だから、技術があるから、
そんな理由だけで幹部にすることはあり得ない。

社員が7名しかいないのなら
ワンマン経営で十分だと思うがどうか。

現在は息子さんが会社の経営を任されている。
もしこのままを維持できればいいのだという考えでいるならば
いずれ会社はダメになる。
(現状維持=衰退)
なぜならワイヤー加工の会社は他にもあるから
その会社がただ指をくわえて見ているわけがない。
必ず営業力を強化してシェアを奪いに来る。

すべての経営者が頭に叩き込んでおいてほしい
3つの要素から成る公式を私は伝えたい。

『顧客数 × 製品単価 × 購買頻度』 =売上げ

売上げを2倍に増やしたいなら
3つの要素のどれでもいいから2倍にする。

もし労働時間を短縮したい方向で考えるなら
付加価値の高いオンリーワン製品を作るしかないが、
𠮷原精工にはそんな技術はない。

1個の利益1000円より2000円にできるならば
単純に考えて労働時間が半分になるか、
収入が2倍になる。

もしくは東南アジアに工場を作り、
世界市場を狙ってネットによる営業をかける。
これならば今ある技術でも十分通用する。
人件費も税率も安い地域で製造できるので
価格競争力に負けない。
難民も同僚として同じ職場で働いていることもあり
海外アレルギーはないだろう。

私が2代目社長にアドバイスするなら
製造を海外へシフトする方向性で行くべきと言う。
(日本の工場はやがて営業所にしてしまう)
なぜならオンリーワン技術なんてそうできるものではない。
日本では古くて性能の劣る設備機械でも
海外ではまだまだ活かせる。
若い労働力が豊富なので、求人に悩むこともない。

今や東南アジアでは亡命するまでの迫害はない。
少しでも豊かになりたくて外資を迎え入れたい。
(だから税率が低い)
もちろん思わぬカントリーリスクに出くわすこともあるが、
日本におけるリスクだって深刻だと思う。
ビジネスをする以上リスクはつきまとうものです。

それでも日本にこだわるならば
会社をこれ以上デカくしないこと。
今抱えている顧客を減らさないようにすること。

日本の経営環境は、攻めより守りの時代ですから。

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